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備讃瀬戸の島は,はげ山,岩場,砂浜など変化に富み,至るところに花崗岩が露出しています。島の中で山と海が一体となりコンパクトにまとまっていることが,石切りと石の陸運,海運を容易ならしめました。
瀬戸内海の島々で,採石の発展をもたらした大きな原因は,海でした。島々は海によってつながっています。海こそが,巨大な石を遠隔地まで運ぶために不可欠な「道」だったのです。
西日本における海上交通の大動脈でもあった瀬戸内海の島々には,海の「道」への入口となる港町が形成されました。備讃諸島においても,街路が屈曲し,十字路を形成しない複雑な町割りを残した集落が見られます。
丁場から切り出した石を積み出した小さな港。大小の端材を巧みに組み上げた護岸が遺っており,「北木石」の原産地ならではの景観を見せています。
笠岡市北木島町
江戸時代に廻船問屋として繁栄した面影を残す屋敷です。まるで城のような石垣は,島の花崗岩「青木石」を高く積み上げています。
丸亀市広島町立石
笠島集落は中世には塩飽水軍,江戸時代には塩飽廻船の拠点として栄えました。山城のある丘陵に三方を囲まれつつ,狭い道路が複雑に食い違い,見通しがきかない防衛的な構造を示す一方,マッチョ通り(町通り)と呼ばれる主要道路に沿って町屋形式の家屋が建ち並ぶ集落が,海の民の経済力を物語っています。
丸亀市本島町笠島
笠島まち並保存センター
9時~16時営業
観覧料大人200円,小人100円
連絡先 0877-27-3828(月曜休館)
路地が入り組んだ土庄の集落は「迷路のまち」として知られています。西光寺はその象徴的な存在で,境内から町を一望できます。町なかには採石奉行加藤清正ゆかりの屋敷跡も残っています。
土庄町甲
土庄港から来るまで7分
笠岡諸島の真鍋島では,中世真鍋水軍の拠点にふさわしく,山城のふもとに防衛的な町割りの集落が展開しています。真鍋家住宅は,島の集落景観を代表する古民家です。
笠岡市真鍋島
真鍋島本浦港すぐ。