学芸員の覚書Vol.8(脱皮の治癒力)
学芸員の覚書Vol.8(脱皮の治癒力)
誰得な情報をお届けする「学芸員の覚書シリーズ」。
今回はカブトガニの治癒力。
カブトガニは脱皮するたびに,あんな傷やこんな傷を徐々に治癒することができるのだ!
かなりの大けがでも回復できるカブトガニですが,今回めでたく2023年4月4日に脱皮したアメリカカブトガニをこの度ピックアップしてみてみよう!
こちらの写真は,2年以上前に脱皮した時の写真。
前体の右側がペコッとへこんでいることがわかります。
じつは脱皮した時は前も後も,あまり体の形が変わらなかったのです。
なぜだ?
私の中の常識では,「脱皮する度に徐々に本来の形になる」のですが。
いや,焦るなかれ。
さっきも言ったとおり『徐々に』本来の形になるのです。
上の写真からさらに3度も脱皮を経験した,今回の脱皮。
そりゃ~もうツルンッツルンッになっていることでしょう!
脱皮した後の水槽をのぞいてみましょうっ!!
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そうなんです。
くぼんだままなのです。
これまで脱皮した殻を並べるとこんな感じです。
う~ん。
安定のへこみ。
一番小さな脱皮殻と並べると,
変わらないですね。
と,いうことで,傷は治せるけれど体の歪みは脱皮では治らないというお話でした。
ちなみに,尾剣が根元から取れてしまったカブトガニも脱皮では再生できません。
根本が残っていれば徐々に脱皮をする度に伸びていきます。
カブトガニの脱皮の不思議。
現場からは以上です。