比庵さんが目指した万葉の世界
平成31(2019)年4月27日(土曜日)~6月30日(日曜日)
日本の歌壇で絶えず野にあって、日常歌に徹した清水比庵さんは、自らの歌風を「悲しさを忍ばせる歌境」と語っています。同題のエッセイの中で「九十になつて歌が悲しくなつたといふものの、歌は元来悲しいものである。昔は男から女へ、或は女から男へ恋愛をささやく為に歌を作ったともいはれるやうに、歌は恋愛と同じやうに元来悲しいものである。と同時に、たまらなく嬉しいものなのである。その悲喜共存の理がわからないで、歌をただ悲しいものとばかりに取扱つては歌は味はへない。悲しいものであるから、却つて之を嬉しい方面から取扱つて悲しさを忍ばせるといふのが、小生の歌の詠み方である。反対に悲しみを詠んで嬉しさを忍ばせるといふ詠み方もある筈であるけれども、之は下手をすると空々しく聞えて聞き苦しくなる。之は却つて難しい。それ故多くの場合楽しげに詠んで悲しさを忍ばせるといふ詠み方を選ぶ」としています。
比庵さんはこの歌境を心の貧しさという言葉で表わし、「心の貧しきもの、悲しみのわかつてゐるものは、結局悲しいものでなく幸福なものなのである」とも述べています。寂然とした諦観から導かれるこの心情を、簡明な歌として詠み、大拙の書として記し、艶やかな絵として描きました。
比庵が彼方の目標としたのは、自らの歌心を率直に託すことのできる万葉歌の世界でした。今回の企画では、「悲しさを忍ばせる歌境」をつぶさに伝え、いわば万葉の世界を造形化したといえる比庵ワールドを代表作80点により、たどります。
開館時間
9時30分~17時(入館は16時30分まで)
休館日
毎週月曜日 ※ただし4月29日、5月6日は開館し、5月7は閉館します。
入館料
・ 一般500円(400) ( )内は団体20名以上
・ 高校生以下は無料 (学生証を提示してください)
※65歳以上は無料(年齢のわかるものを提示してください)
【お知らせ】
令和元年5月1日(水曜日)は改元に伴う慶祝事業の一環として竹喬美術館も無料公開となります。
笠岡市立カブトガニ博物館、笠岡市立郷土館も無料開館となります。この機会にぜひお立ち寄り下さい!
http://www.city.kasaoka.okayama.jp/site/kabutogani/
関連行事 ※詳細のお問合せは美術館まで(0865-63-3967)
講座に参加をご希望の方は美術館までお申し込み下さい。
(0865-63-3967)
●講座「比庵さんと笠岡」 ※要予約
講師:上薗四郎(当館館長)
日時:5月26日(日曜日)13時30分~15時00分 笠岡市立図書館多目的室
●学芸員によるギャラリートーク(申込不要)
4月28日(日曜日)、6月16日(日曜日) 各日13時30分~14時30分
同時開催 「初夏を描く 竹喬」
本館2階展示室B 水辺の風景を主題とする本画と素描を約50点展示
図書館連携企画「清水比庵」特集コーナー
隣接する笠岡市立図書館で、清水比庵の特集コーナが5月26日(日曜日)まで開設されています。
日本画や美術に関するいろいろな本が紹介されています。ぜひお立ち寄りください。
また、竹喬美術館所蔵の清水比庵作《つつじ》を図書館受付横の壁面に展示しています。
笠岡市立図書館(http://www.lib.city.kasaoka.okayama.jp/tosho/index.asp<外部リンク>)