カブトガニの学名の話(11月6日)
カブトガニの学名の話
はじめに断っておきますが、かなりマニアックな話です。
「カブトガニのことなら何でも知りたい!」と思っていただける方には、ぜひ読み進めていただきたいと思います。
『学名』ってなに?
ところで、学名とは何なのかご存知でしょうか?
まず、生物学の中には『分類学』という分野があります。
そしてその分類学上、生物は大きく「界(かい)・門(もん)・綱(こう)・目(もく)・科(か)・属(ぞく)・種(しゅ)」に分類されます。
たとえば、我々人間だと
動物界・脊椎動物門・哺乳綱・霊長目・ヒト科・ヒト属・ヒト
となります。この最後の「ヒト」が『標準和名』といって、日本全国共通の生物名となります。
カブトガニの場合は
動物界・無脊椎動物門・節口綱・カブトガニ目・カブトガニ科・カブトガニ
となります。
さて、では学名とはどこを指すのでしょうか?
正解は、属(属名)と種(種小名)をラテン語標記したものを指します。
ちなみに、この属名と種小名で生物名を示すことを『リンネの二名法』と呼びます。
『リンネ』とは、スウェーデンの生物学者であるカール・フォン・リンネのことです。
(「分類学の父」と言われる偉大な人物です)
本題の『学名』について
さて、まずは簡単に説明するためにヒトの学名について説明します。
ヒトの学名は、Homo sapiens(ホモ サピエンス)です。
聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ホモは「ヒト」、サピエンスは「賢い」「知恵のある」という意味ですので「賢いヒト」という意味になります。
では、いよいよカブトガニの学名ですが、Tachypleus tridentatus(タキプレウス トリデンタトゥス)といいます。
タキプレウスとはギリシャ語に由来して「速く泳ぐ」、トリは「3つの」、デンタトゥスは「ノコギリ歯状の歯・トゲ」という意味があります。
つまり、「速く泳ぐ3つのノコギリ歯状のトゲ」!
意味がわかりません!
しかし、現在Tachypleusは「カブトガニ属」という意味で使われていますので、それを踏まえると「3つのノコギリ歯状のトゲのあるカブトガニ」です。
お!答えが見えてきました!
では「3つのノコギリ歯状のトゲ」とはどこにあるのでしょうか。
これからカブトガニの尾剣の付け根の写真をお見せします。
↓「3つのノコギリ歯状のトゲ」見つけることができるかな!?↓
改めて見るとトゲだらけの生き物ですね。
さて、「3つのノコギリ歯状のトゲ」を見つけることができたでしょうか?
↓正解はこちらになります↓
確かにトゲが3本並んでいますね。
この3本のトゲがなぜ学名になっているかというと、カブトガニは2属4種が現存しているのですが、この種のカブトガニ以外のカブトガニ(ミナミカブトガニ・マルオカブトガニ・アメリカカブトガニ)にはこの3本のトゲがありません。
従って、尾剣の付け根のトゲは、カブトガニを分類する上で重要な部位になるわけです。