カブトガニの血液の利用
カブトガニの血液の利用
(1)血液成分とそのはたらき
1968年(昭和43年)に、アメリカのジョンスホプキンス大学の医学者だったバング博士とレビン博士の2人は、アメリカカブトガニの血液からとりだした血球の成分によって、大腸菌などのばい菌があるとそれを短時間に、ゼラチン状に固めてしまうという大変な発見をしました。
その後、いろいろと研究が続けられ、カブトガニの血液の中の血球の成分から作られた薬によって、病気の人を苦しめているばい菌を、いち早く発見して処置することができるようになりました。(66・67・ 68図)
▲66図 レビン博士と夫人
(2)体内の毒素などをしらべる薬
カブトガニの血球成分からつくられた薬は、わたしたちの体内の血液中に、ごくわずか、百億分の1g以下の内毒素(ばい菌が作る)が入ったとしても、それと反応して、そのばい菌を、ゼラチン状に固めるというするどいはたらきをします。
このように、すばらしいカブトガニの薬を使うことにより、悪い内毒素があるかないかを、短時間にキャッチすることができるようになりました。今では、内毒素が原因でおきていたショック、ひきつけ、高い熱、吐き気などを防ぐことができ、大変助かっています。その他、この薬によって、がんこなカビによる病気や、食べ物、水質、器具などの汚せんが、短かい時間に調べられるので大変助けられています。
最近では、カブトガニの血球成分からつくられた薬によって、エイズウイルスのはんしょくがおさえられ、その活動が弱まるというすばらしい研究も進んでいます。(69図・表5)
▲69図 カブトガニのテスト試薬
検査薬<▲表5 カブトガニの血球の利用 >
1.内毒素(大腸菌、りょくのう菌、サルモネラ菌など)の検査薬
検査薬 ▲表5 カブトガニの血球の利用
- 内毒素(大腸菌、りょくのう菌、サルモネラ菌など)の検査薬
- 医薬品(注射液、ワクチン、人工腎透析まくなど)の内毒素汚せんの検査薬
- 食べ物(ゆ入肉、牛乳など)の細菌汚せんの検査薬
- 水質(井戸水、水道水など)の検査薬