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特別な卵の生み方と発育

印刷用ページを表示する更新日:2011年3月1日更新 <外部リンク>

特別な卵の生み方と発育

(1)卵を産む時期

6月の終わりごろになると、気温も、水温も25℃くらいに上がり、そして、7月の終わりから、8月初めにかけて、水温が30℃前後になります。このころが、カブトガニにとって最高の卵を産む時期といえます。ひと晩に、多く産むものは 10個所以上で産みます。

このように、カブトガニは、6、7、8月中が卵を産む時期といえます。(45・46図)

カブトガニの産卵期の図
▲45図 カブトガニの産卵期

カブトガニ産卵状況の図

(2)卵の産み方

カブトガニは、夜行性の動物らしく、大潮の真夜中の満潮 1時間前ごろから、オスとメスは抱合したまま、海岸に近づいて、岸に近いあたりから卵を産んでいきます。この時、よく見ると、メスの背中にいるオスは、何らかの信号をメスに送りながら産卵をうながしているようです。

メスは、砂の深さ10cmくらいの所に、直径3mmの卵を 300個くらい勢いよく産み出しますが、その直前に、オスは精液を出して、その卵にかけるようです。その時、小さなあわに続いて、ボガッ、ボガッと大きなあわが海底から吹き上がってきます。卵を産み終わると、共同で砂をかけ、少し移動して、また砂をほっては、卵を産み続けます。(47・48・49・50図)

卵を産む時のあわと卵を産む時のようすの写真
▲47図 卵を産む時のあわ ▲48図 卵を産む時のようす

卵を産んだ後のくぼみと産卵に夢中で逃げ遅れた夫婦の写真
▲49図 卵を産んだ後のくぼみ 50図 産卵に夢中で逃げ遅れた夫婦

(3)卵の発育

朝早く、昨夜産んだ卵をほってみますと、砂の色によくにた黄緑色をした、色つやのよい、ひしゃげた卵300個くらいが、くっつき合っているのが見られます。この卵も、時間がたつと少しずつふくらんできます。

 産まれたばかりの卵の写真
▲51図 産まれたばかりの卵

産まれて2週間目に、外側の固い殻が破れ、内側のやわらかいまく(内卵膜)になります。

 2週間目の卵の写真
▲52図 2週間目の卵 (関口晃一氏撮影)

3週間目になると、卵の中央に胚(赤ちゃん)が見え出します。

4週間目くらいから、小さくて、とってもかわいい足とえらが動くのが見えます。しばらくすると、卵の中では、ゆっくりと胚が後ろまわりを始めます。注意してよく見ていると、今度は卵の中で、胚がだっぴしているのがわかります。そして、40日以上たって、4回目の胚だっぴが終わると、いよいよふ化してサンヨウチュウ(三葉虫)の形をした幼生が、この世に誕生します。(51・52・53・54・ 55図)

3週間目の卵と4週間目の卵の写真
▲53図 3週間目の卵(関口晃一氏撮影) ▲54図 4週間目の卵

三葉虫幼生の写真
▲55図 三葉虫幼生(関口晃一氏撮影)