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カブトガニの発生と成長

印刷用ページを表示する更新日:2011年3月1日更新 <外部リンク>

カブトガニの発生と成長

カブトガニの卵は、海岸の砂の中へ生みつけられ、太陽熱によって孵化(ふか)します。孵化したばかりの子供のことを三葉虫型幼生といい、この後もう一回の脱皮をしてから、初めて餌をとるようになります。 その後、10年前後の年月をかけて13~15回の脱皮をしたのち、成体になります。

発 生

カブトガニの産卵直後の卵は、直径が3mm、色は黄白色をしています。卵は50日前後で孵化しますが、その直前の卵は約6、5mmにも膨らんでいます。これは発生の途中で作られた弾力性に富んだ卵膜と胚(はい)の間に外から海水が取り込まれるためで、胚はこの膜の中で4回も脱皮をしてから孵化します。このときの幼生は三葉虫によく似ていることから三葉虫型幼生といわれています。

受精後5週間目の卵の写真
受精後5週間目の卵(回転卵)

成 長

カブトガニは孵化後、何回くらい脱皮をし、何年くらいかかって成体になるのか、今のところはっきりしたことはわかっていません。現在のところ、オスについては15回の脱皮をして13年目に、メスは16回の脱皮をして14年目に成体になると推定されています。しかし外にも次のような違った考え方が述べられています。

  1. 17~18回の脱皮をし、15~16年後に成体になる。(浅野卯一郎氏 1942)
  2. 12~13回の脱皮をし、成体になる。(後藤・服部治 氏 1929)
  3. オスは13回の脱皮をして8年目に、メスは14回の脱皮をして9年目に成体になる。(川原大氏 1989) このように研究者によって考え方が違うのは、カブトガニの成長速度が遅く、10年近く継続飼育しなければ解明できないためです

脱皮のメカニズム

脱皮は、前体の周縁部が割れ、そこから新しい体が出てきます。新しい体は前の小さな殻の中で、きれいに折りたたまれて収まっており、脱皮後シワが伸びて前の体よりも1、3倍ほども大きくなります。カブトガニの脱皮は、非常に複雑であり、特に1000枚ほどもある鰓書(えらしょ)や消化管の一部も新しいものと脱ぎ変えるため脱皮中に死亡することがあります。

脱皮中に死亡したカブトガニの写真
脱皮中死亡したカブトガニ