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水槽と産卵と卵

印刷用ページを表示する更新日:2020年8月15日更新 <外部リンク>

水槽と産卵と卵

回転卵

カブトガニ博物館の入り口から入ってすぐのところに,カブトガニを飼育している水槽があります。

その水槽には,オスとメスが入っていたのですが,20~30日ほど前に水槽内で産卵が行われました。

上の写真は「回転卵」といって,ふ化する一歩手前の段階です。

カブトガニの卵について図説すると

図説カブトガニの卵

ですから,水槽で産み付けられたばかりの卵は下の写真のように,ただの黄色っぽいツブツブ。
産卵

じつは,この水槽内で起こった産卵...

事件です!

カブニ

何が事件なのか!?

カブトガニの産卵場所は,そもそも水槽のように常に水に浸かるところではありません。

海には「潮の満ち引き」=「干満」がありますね。

カブトガニが産卵して無事にふ化できるかは,この干満が重要な要因になります。

昼

夜

カブトガニは,満潮時には水に浸かるけれど,潮が引くと水に浸からない場所に産卵するのです。

この,一言でいうと「いい感じの場所」に産むことで,カブトガニの卵は潮汐サイクルにさらされて成長していきます。

つまり,水槽内での産卵は,自然の潮汐サイクルにさらされるべくして産み落とされた卵が,潮汐サイクルにさらされていないのです!

ですから,水槽内で卵を産むということが,いかにリスキーであるかが分かると思います。

ヒトで例えると,太陽の明るい・暗いが存在しない世界に産み落とされたようなものです。

それはもう,生活リズム乱れまくりです!

しかし,元気な卵もあった!

外卵膜

カブトガニの卵の成長についての説明で「卵の中から卵が!」という部分がありました。

それが,上の写真。

(注:おいしいお菓子のうぐいすボールではありません)

難しい言葉で矢印の部分を「外卵膜」と呼びますが,これが破れて内側の卵が出てきていることが成長の証です!

そのような元気な卵は回収して,当館施設にある「産卵池」に埋めて自然にふ化するのを待ちます。

↓産卵池↓
産卵池

右側の砂浜に卵を埋めました。

海とつながっているので,自然の潮の満ち引きがあります。

あと1か月ほどで元気なカブトガニベビーが生まれてくることでしょう。

ふ化が待ち遠しいですね。

カブトガニの卵の話でした。

カブニくん