カブトガニの血液。「青色」じゃない!?
カブトガニの血液。「青色」じゃない!?
まず、カブトガニの血液の話を少しすると、
カブトガニの血液の血球中の特性には、グラム陰性菌のエンドトキシンに反応してゲル状に固める「アメーボサイト」と呼ばれる反応があります。
(すごく簡単にいうと、「細菌がカブトガニの血に付くと、ゼリーみたいに固めちゃうぞ♪」ということ)
この特性を利用して、医療の現場の試薬として活用されています。
さて、人類の医療に貢献しているカブトガニの血ですが、よく言われることがあります。
「カブトガニの血液は青色」
カブトガニに関する情報としては、わりと有名な話です。
ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
テレビのクイズに出たり、当館の展示物にもなっています。
↓採血したカブトガニの血液↓
では、タイトルの『「青色」じゃない!?』
とは?
上の写真の血液は青く見えると思います。
もちろん筆者にも青く見えます。
考え方を変えてみよう
質問です。
デレンッ♪
Q.ヒトの血液は何色ですか?
青かな?
緑かな?
おそらく、みなさん「赤色」と答えるでしょう。
それも,「鮮やかな赤色」。
ケガをした時を思い出すと分かりますね。
その鮮やかな赤色は,血液に含まれる血球のヘモグロビンが酸素と結びついている状態(オキシ型)だからです。
献血や採血をした時の血液は
「私って不健康なのかな!?」
と思うほど黒っぽい血液がとれます。
これは,ヘモグロビンが酸素と結びついていない状態(デオキシ型)の静脈の血液です。
カブトガニの血について考えてみよう
さて、カブトガニの血液にはヘモグロビンがありません。
その代わりに血球に「ヘモシアニン」があり、核には「銅」があります。
(ヘモグロビンは核に鉄があります)
さっき見た写真の青いカブトガニの血液は、このヘモシアニンがオキシ型になったもの。
では、カブトガニの体の中を流れている時、血液は何色なのでしょうか?
↓採血したばかりのカブトガニの血液↓
透明がかった乳白色。
これが、カブトガニの血液です。
表にして説明すると,
カブトガニの血液は体内では,オキシ型が少ないから乳白色に見えるけど,外に出て酸素に触れると青色に見える。
ヒトが採血した時の血は暗い赤色に見えるけれど,出血した時は酸素に触れるから鮮やかな赤色に見えることと同じ理由なんだ!」
以上、カブトガニの血液のお話でした。