竹喬美術館平成27年度展覧会 山口華楊の滞欧素描と岩倉壽のエスキース
山口華楊の滞欧素描と岩倉壽のエスキース
平成27(2015)年10月31日(土曜日)~12月6日(日曜日)
笠岡市立竹喬美術館では、師弟関係にある山口華楊(かよう:1899-1984 )と岩倉壽(ひさし:1936- )の特別展を、2012年と2010年に開催しています。花鳥画・動物画家としての華楊、風景画・静物画家としての壽、それぞれの画業は京都画壇の伝統ともいえる、凝視の眼と新生面を拓かんとする進取の精神を基礎としています。そして、華楊は鋭敏な感性により、自然における生命のうごめき、その核心を捉えようとし、壽は親密な洞察によって、すべての存在の奥に潜むもの、宇宙の始原をつかみ取ろうとしています。
当館には、山口家から寄贈を受けた山口華楊の滞欧素描93点と、岩倉壽より寄贈を受けたエスキース39点があります。華楊は、昭和37(1962)年3月より7月までの間、ドイツ、オランダ、北欧三国、フランス、イギリス、スペイン、イタリア、スイスを訪れ、町並みや自然の景観、また博物館の所蔵品などを写生しています。細緻な鉛筆の線で描かれたこれらの素描は、花鳥を描いた大らかな描線とは異なり、対象を徹底的に写し取るという姿勢を示しています。日本の風景では感じない、西洋風景の中にある独特な空気を感じ取ろうとしたのです。大正時代に渡欧した小野竹喬の簡明な滞欧素描と比較して、より綿密で時間を要した素描といえます。また壽は、身近な屋外風景や日常の室内に置かれた静物、そしてアトリエの窓越しに眼にした一コマを、日記に綴るかのように、集中した視線によって小画面に捉えています。必ずしも生命力の満ちた対象だけでなく、朽ちてゆくもの、滅びて行くもの、その明滅する生命を捉えようとしているかのようです。単なる素描とは異なり、本画と同等の実験的な試みがなされています。また、一つ一つの対象を確かな塊りとして立体的に画面に布置しており、彫刻家のエスキースを思わせるものでもあります。
このたびの企画は、華楊の滞欧素描と壽のエスキースを同時に並べることにより、京都画壇の中に継承される、自然を見つめる良質な眼を提起し、二人の資質の根源にあるものを見出そうとするものです。華楊、壽の25点ずつの作品と小野竹喬の作品50点とあわせて、それぞれの持ち味を発見していただければ幸いです。
開館時間
9時30分~17時(入館は16時30分まで)
休館日
毎週月曜日(ただし祝日にあたる11月23日は開館し、24日は休館します)
入館料
一般500円(400)
高校生300円(200)
市外小中学生150円(90)
( )内は団体20名以上
※65歳以上の方・笠岡市内の小中学生は入館無料。年齢のわかるもの、笠岡っ子無料パスを提示してください。
※11月15日(日曜日)は竹喬生誕祭につき入館無料
関連行事
○竹喬茶会(竹喬生誕祭)
11月15日(日曜日) 10時~16時
お茶席券400円(高校生以下は無料)、当日は入館料も無料です
協力:笠岡茶道連盟
○学芸員によるギャラリートーク
11月8日(日曜日)、11月22日(日曜日) 13時30分~14時30分
聴講無料(ただし、入館料が必要) 申込不要
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