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竹喬美術館平成24年度展覧会 清水比庵の世界

清水比庵の世界

2012年6月2日(土曜日)~7月22日(日曜日)

「清水比庵の世界展」ちらしの画像

 竹喬美術館は1982年の開館当初より、笠岡に縁の深い文人である清水比庵(しみずひあん:1883~1975)の短歌と書、そして絵画の世界を繰り返し紹介して、その顕彰に努めてきた。

  比庵は現在の岡山県高梁市に生まれ、京都帝国大学を卒業後、法曹界、実業界を経て、最後は栃木県日光町の町長を務めた。旧制中学時代より短歌を詠み始め、歌誌に属することなくまた師を持つこともなく、正岡子規の歌論を信奉しつつ詠み続けた。書と画も基礎は学びつつもほぼ独学といえ、比庵の歌、書、画の世界は飽くことのない継続のうちに独特な味わいを創出したといえる。

  特に日本画家川合玉堂の賛助を得て1942年に発足した展覧会「野水会(やすいかい)」において、合作の交流を通して、歌人として偶庵という号を持つ玉堂と相互に短歌批評を行ったことは比庵の芸境を一段と深めたと想像される。それは従来からの素朴な写生にもとづき、楽しさの中に悲しさを潜める歌風が徐々に和らぎ、円かな世界が展開していくことにより表れてくる。そして書や画においては、その奔放な筆遣いに稚拙感すら印象付けていたのが、歌風の洗練とともに「大巧若拙」といえるムードを備え、80代以後になると比庵の「毎日佳境」から生み出される作品群にこの上もない幸福感が満ちてくる。

  比庵と笠岡とは、父親が勤務し妹が嫁いだ町であったことにより結びつきが強い。戦中戦後には疎開し、その後は亡くなる直前まで毎年、夏季を過ごすなど、比庵にとって笠岡は第二の故郷といえる地である。そのために比庵の遺作が笠岡周辺に多く所在し、当館が開館して以来、比庵と交流のあった方々から作品の寄贈が続き、また寄託の申し出も多い。現在、館蔵と寄託による比庵作品は150点を超えている。

 今回の比庵展は、開館30周年を記念して、比庵芸術が大きく花開いた80歳以降の秀作を60点展示する。この中には初公開の作品が20点余り含まれる。ほのかな恋心を詠んだ「秋風は君の山河へ吹きゆかむ蕭條としてうつくしくして」に果物を添えた《秋果》(91歳)、寂然とした心意を詠んだ「一山の雨の中にてわが宿をうつ音こそはあわれなりけれ」に蹲(つくばい)にたたずむ雨蛙を描いた《雨の宿》)(93歳)など、心に沁み入る魅力に富んだ作品が展示される。文人を育む町、笠岡の象徴ともいえる清水比庵の世界を味わっていただきたい。

開館時間

 9時30分~17時(入館は16時30分まで)

休館日

毎週月曜日(ただし、祝日にあたる7月16日は開館、7月22日休館)

入館料

一般500円(400)
高校生300円(200)
市外小中学生150円(90)
( )内は団体20名以上
※65歳以上の方・笠岡市内の小中学生は入館無料。年齢のわかるもの、笠岡っ子無料パスを提示してください。

関連行事

ギャラリートーク 6月2日(土曜日)・17日(日曜日)、7月8日(日曜日)
いずれも13時30分~14時30分 聴講無料(ただし入館料のみ必要)

<外部リンク>

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