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だっぴと成長のしくみ

印刷用ページを表示する更新日:2011年3月1日更新 <外部リンク>

だっぴと成長のしくみ

(1)だっぴする時期

カブトガニは、からだの外側が固いからでおおわれている生き物(外骨格動物)ですから、その固いからをぬがないと大きくなれません。夏の間に、しっかりと食べて体力をつけ、だっぴする前には、固いからの内側に、新しいからだがつくられます。そして、6月から9月にかけて命がけのだっぴが行なわれます。(56図)

活動していたカブトガニの写真
▲56図 活動していたカブトガニ

(2)だっぴのしかた

カブトガニは、だっぴが近づくと、えさを食べる動作も止まり、動かなくなります。しばらくようすを見ていると、甲らの色が少しずつ白くすけてきます。やがて、前体(頭胸部)の前のふちがさけてきます。またしばらくすると、さけ目が広がり、じわりじわりとやわらかくてみずみずしい新しいからだが、少しずつのぞいてきます。この時のカブトガニを見ると、しっかりと足をふんばり、からだの曲げのばしを何回となくくり返しながら、長い時間をかけ、苦しみにたえながらがんばり続けます。見ていてなみだがでるくらいです。

小さなものほど早くぬぎ終わり、大きくなるほど時間がかかり、なかには途中で力つきて死ぬものもいます。 
カブトガニは、だっぴするごとに、約1、3倍くらいの大きさになっていきます。
だっぴし終ったからの中をのぞいてみると、えらや消化管の1部のくだまできれいにぬいでいるのにおどろかされます。

カブトガニは、からをぬぎ終わると、どろの中で自分のからだが固くなるまで、じっと身動き一つしないでがんばっています。

だっぴのはじまりの写真
▲57図 だっぴのはじまり

だっぴの進んだころとだっぴの終わりかけの写真
▲58図 だっぴの進んだころ▲59図 だっぴの終わりかけ

だっぴがら(左)だっぴ後(右)とぬいだえらや消化管の1部の写真
▲60図 だっぴがら(左)だっぴ後(右)  ▲61図 ぬいだえらや消化管の1部

(3)だっぴ回数とじゅ命

カブトガニがだっぴをする間かくは、ふ化して2年間くらいは短かいですが、3年目くらいから、1年に1回というだっぴ回数となります。

 成長を示すだっぴがらの写真
▲62図 成長を示すだっぴがら

また、カブトガニは、最後のだっぴでオスとメスと、からだのちがいがはっきりしたものとなります。

 最後のだっぴでオスの形がでかかっている写真
▲63図 最後のだっぴでオスの形がでかかっている

長年にわたって、たくさんのカブトガニのだっぴがらを採集して、そのからだの各部の大きさを測定し、成長段階をまとめてみました。

さて、日本のカブトガニは、親になって、一度抱合しますと、死ぬまで離れないものがいるようです。それほど夫婦仲がよいので、中国では『カブトガニ』のことを『夫婦』と呼ぶほどです。

ところで、カブトガニが親になってから、その後何年生きるのかよくわかりませんが、カブトガニの実験飼育池で、親を5年以上飼育した経験から、おそらく、20年から25年くらい生きるのではないかと思います。(62・63・64・65図)

カブトガニ実験飼育池の写真
▲65図 カブトガニ実験飼育池