水槽と産卵と卵
水槽と産卵と卵
カブトガニ博物館の入り口から入ってすぐのところに,カブトガニを飼育している水槽があります。
その水槽には,オスとメスが入っていたのですが,20~30日ほど前に水槽内で産卵が行われました。
上の写真は「回転卵」といって,ふ化する一歩手前の段階です。
カブトガニの卵について図説すると
ですから,水槽で産み付けられたばかりの卵は下の写真のように,ただの黄色っぽいツブツブ。
じつは,この水槽内で起こった産卵...
事件です!
何が事件なのか!?
カブトガニの産卵場所は,そもそも水槽のように常に水に浸かるところではありません。
海には「潮の満ち引き」=「干満」がありますね。
カブトガニが産卵して無事にふ化できるかは,この干満が重要な要因になります。
カブトガニは,満潮時には水に浸かるけれど,潮が引くと水に浸からない場所に産卵するのです。
この,一言でいうと「いい感じの場所」に産むことで,カブトガニの卵は潮汐サイクルにさらされて成長していきます。
つまり,水槽内での産卵は,自然の潮汐サイクルにさらされるべくして産み落とされた卵が,潮汐サイクルにさらされていないのです!
ですから,水槽内で卵を産むということが,いかにリスキーであるかが分かると思います。
ヒトで例えると,太陽の明るい・暗いが存在しない世界に産み落とされたようなものです。
それはもう,生活リズム乱れまくりです!
しかし,元気な卵もあった!
カブトガニの卵の成長についての説明で「卵の中から卵が!」という部分がありました。
それが,上の写真。
(注:おいしいお菓子のうぐいすボールではありません)
難しい言葉で矢印の部分を「外卵膜」と呼びますが,これが破れて内側の卵が出てきていることが成長の証です!
そのような元気な卵は回収して,当館施設にある「産卵池」に埋めて自然にふ化するのを待ちます。
↓産卵池↓
右側の砂浜に卵を埋めました。
海とつながっているので,自然の潮の満ち引きがあります。
あと1か月ほどで元気なカブトガニベビーが生まれてくることでしょう。
ふ化が待ち遠しいですね。
カブトガニの卵の話でした。