○笠岡市議会基本条例

平成23年10月7日

条例第16号

地方議会は,市民から選挙で選ばれた議員と市長とで構成された二元代表制の下,地方自治体の事務執行の監視及び評価並びに立法機能を十分発揮しながら,日本国憲法に定める地方自治の本旨の実現を目指すものである。

地方分権の進展に伴い,地方自治の権限が拡大している中で,地方自治の本旨に基づき,生活者の視点に立つ市政の確立が求められている。

議会は,合議制機関として,主権者である市民の意思を市政に的確に反映させるために活発な議論を行い,笠岡市として最良の意思決定を行う使命が課せられている。

ここに議会は,市民の参加及び開かれた議会を推進し,議会に係る基本的事項を定め,その責務を明らかにし,将来にわたり市民福祉の向上のため全力を挙げて市民の信託に応えることを誓い,全議員の総意により,この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,住民自治の実現に向けて,議会及び議員が担う役割を果たすために必要な基本的事項を定めることにより,議会を活性化し,市民の信託に応えられる議会運営の実現を図るとともに,地方自治の本旨に基づき公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 議会は,市政における意思決定機関として,市民の意思を的確に市政に反映させるため,公平かつ公正な議論を尽くし,住民自治の確立及び自立した地方政府の実現を目指す。

(基本方針)

第3条 議会は,前条に定める基本理念に基づき,地方分権の進展に的確に対応するため,議会の活性化を推進する。

(最高規範性)

第4条 この条例は,議会における最高規範であって,議会に関する他の条例,規則等は,この条例と整合を図るものとする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第5条 議会は,市民を代表する議決機関であることを自覚し,市政の公正性,透明性及び信頼性を確保するため,市長及び他の執行機関(以下「市長等」という。)の市政の運営を監視及び評価するものとする。

2 議会は,市民の多様な意見を把握し市政に反映させるため,市民の代表である議員相互の自由な討議を尊重し,必要な政策を自ら立案し,又は市長等に提言すること等により,市民と一緒にまちづくりの活動に取り組むものとする。

3 議会は,市民に開かれた議会を目指し,議会が行う活動に市民が参加できるように情報公開に取り組むとともに,市民に対して議会の議決及び運営についてその経緯,理由等を説明する責任を果たすものとする。

4 議会は,市民に分かりやすい議会運営を行うために,笠岡市議会会議規則(昭和33年笠岡市議会規則第1号)笠岡市議会委員会条例(昭和33年笠岡市条例第10号)等について絶えず見直しを行うものとする。

(議員の活動原則)

第6条 議員は,議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを認識し,議員相互の自由な討議を尊重し,かつ,保障しなければならない。

2 議員は,市政全般についての課題,市民の多様な意見等を的確に把握するとともに,自己の能力を高める不断の研さんに努め,議案の審議又は審査を行うほか,政策立案及び政策提言を行うよう努めなければならない。

3 議員は,市民全体の福祉の向上を目指して活動をしなければならない。

4 議員は,自ら議会活動について,市民に対する説明責任を果たすものとする。

(議決の責任)

第7条 議会は,市の意思決定機関として議決責任を深く認識するとともに,その結果について市民に説明する責任を有する。

(会派)

第8条 議員は,議会活動を行うため,会派を結成することができる。

2 会派は,議会が政策立案,政策決定,政策提言等を行おうとするときは,必要に応じて合意形成に努めるものとする。

(全員協議会)

第9条 議会は,市政及び議会に係る諸事項について自由に協議するため,全員協議会を設置する。

(議長及び副議長)

第10条 議長は,議会を代表して中立公正な職務遂行に努めるとともに,議会の品位を保持し,民主的かつ効率的な議会運営を行わなければならない。

2 副議長は,議長に事故あるとき又は議長が欠けたとき,議長の職務を行うとともに,議長を補佐する。

3 議長及び副議長の選出に当たっては,選出されようとする者に所信を表明する機会を保障することにより,市民に対して透明性を確保しなければならない。

4 議長及び副議長の選出方法については,別に定める。

第3章 市民と議会との関係

(市民参加の促進)

第11条 議会は,市民の要望を的確に把握し,市政に反映させるものとする。

2 議会は,市民が市政に参画できる機会を確保するよう努めなければならない。

3 議会は,地方自治法(昭和22年法律第67号)第109条及び第115条の2に規定する公聴会制度及び参考人制度を活用し,議会の活性化を図らなければならない。

4 議会は,請願及び陳情を市民の政策提案として位置付けるとともに,その審議においては,提案者の意見を聴く機会を設けなければならない。

5 議会は,市民が傍聴しやすい日時に本会議を開くなど,市民が議会活動に参画できる機会の確保に努めるものとする。

(情報公開の推進)

第12条 議会は,議会に関する情報の公開を推進しなければならない。

2 議会は,保有する情報を議会広報紙,ホームページ,ケーブルテレビジョン等を利用し,積極的に公開するものとする。

3 議会は,定例会のほか,全ての委員会及び全員協議会を原則公開とする。

4 議案に対する議決の賛否は,議決責任の観点から,原則として公表する。

(議会報告会)

第13条 議会は,市民への報告と市民との意見交換の場として,議会報告会を定期的に行うものとする。

2 議会報告会に関することは,別に定める。

第4章 議会と市長等との関係

(議会と市長等との関係の基本原則等)

第14条 議会は,二元代表制の下,市長等と常に緊張ある関係を構築し,事務の執行の監視及び評価を行うとともに政策立案,政策提言等を通じて,市政の発展に取り組まなければならない。

2 議会は,会期中閉会中にかかわらず,市長等に対して文書質問を行うことができる。この場合において,市長等から文書により回答を求めるものとする。

3 議会は,議員が行う市長等への要請に対して,両者の関係の透明性を図るため,日時,要請内容,対応,経過等を記録した文書を作成するよう市長等に対して求めるものとする。

(一問一答による質疑応答及び反問権)

第15条 議会の会議における質疑応答は,市政上の論点及び争点を明確にするため,原則として一問一答の方式で行うものとする。

2 市長等は,議長又は委員長の許可を得て,議会の会議及び委員会において,議員の質問等に対し反問することができる。

(政策等の監視及び評価)

第16条 議会は,市長から市民生活に重要な影響を与える政策,計画,施策,事業等(以下「重要な政策等」という。)を含む議案が提出されたときは,次の各号に掲げる事項の説明を求めるものとする。

(1) 重要な政策等を必要とする背景又は提案に至る経緯

(2) 他の政策案等との比較検討

(3) 笠岡市総合計画における根拠又は位置付け

(4) 関係法令及び条例等

(5) 重要な政策等の実施に係る財源措置

(6) 将来にわたる効果及び費用

2 議会は,市長が予算又は決算を議会に提出し,議会の審議に付するに当たっては,予算又は決算の内容を明らかにするために必要な書類の作成を求めるものとする。

(議会が求める報告及び資料の要求)

第17条 議会は,市長等に対し,笠岡市総合計画を実現するための長期的で重要な計画の策定及び審議会等の開催状況の概要の報告を求めるものとする。

2 議会は,市長等に対し,必要に応じて審議会等の資料の提出を求めるものとする。

(議決事件の追加)

第18条 地方自治法第96条第2項に規定する議決事件の追加については,別に条例で定める。

第5章 政治倫理

(政治倫理)

第19条 議員は,市民の信頼及び信託に応えるため,高い倫理観を持たなければならない。

2 議員は,市民の代表としての自覚と良識を持ち,議員としての品位を保持しなければならない。

3 議員は,市民全体の奉仕者であることを自覚し,一部の市民及び企業のみの利益を目的とした働きかけを行ってはならない。

4 議員の政治倫理については,別に条例で定める。

第6章 政務活動費

(政務活動費)

第20条 議員は,政務活動費を有効に活用し,調査研究又は政策提言の充実に努めなければならない。

2 政務活動費の交付を受けた会派は,その使途については,全て公開し,結果については,説明責任を果たさなければならない。

3 政務活動費の交付に関しては,別に条例で定める。

第7章 議会機能の強化

(自由討議)

第21条 議員は,議会が議員による討論の場であることを踏まえ,議員相互の討議を積極的に行い,議論を尽くさなければならない。

2 議員は,自由討議を活用し,議案の提出を積極的に行うものとする。

(委員会の活動)

第22条 委員会は,その専門性及び特性を生かして必要の都度開催し,あらゆる行政課題に迅速かつ柔軟に対応するものとする。

2 委員長は,委員会の秩序を保持するとともに,自由討議を中心とした運営に努め,円滑かつ適正な審査を行うことができるよう努めなければならない。

3 委員は,市民の意見等及び自らの調査に基づき,委員会の所管事務に関する提案を積極的に行うものとする。

4 委員は,委員会での審査に当たっては,市民に分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。

(政策討論会)

第23条 議会は,市政に関する重要な政策及び課題に対して,共通認識及び合意形成を図り,もって政策立案,政策提案及び政策提言を推進するため,政策討論会を開催するものとする。

2 政策討論会に関することは,別に定める。

(調査機能の強化)

第24条 議会は,議会活動に関し,審査,諮問又は調査のため必要があると認めるときは,別に条例で定めるところにより,附属機関を設置することができる。

2 議会は,市政の課題に関する審査,諮問又は調査のため必要があると認めるときは,議決により,識見を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。

3 議会は,議案の審査又は市の事務に関する調査のため必要があると認めるときは,識見を有する者等に専門的事項に係る調査・報告を行わせることができる。

第8章 議員定数及び議員報酬

(議員定数)

第25条 議員定数は,議会が有する権能を十分発揮し,議会において活発な議論が行われるよう,定めなければならない。

2 議員定数の見直しに当たっては,市政の現状と課題,将来の予測及び展望を考慮しなければならない。

3 議員定数については,別に条例で定める。

(議員報酬)

第26条 議員報酬の額を定めるに当たっては,笠岡市特別職報酬等審議会条例(昭和39年笠岡市条例第39号)に規定する笠岡市特別職報酬等審議会の意見を尊重しなければならない。

2 議員報酬の見直しに当たっては,市政の現状と課題,将来の予測及び展望を考慮しなければならない。

3 議員報酬については,別に条例で定める。

第9章 議会及び議会事務局の体制整備

(議員研修の充実)

第27条 議会は,議員の政策形成能力を高めるため,議員の研修及び調査研究活動の充実を図るものとする。

(議会事務局の体制整備)

第28条 議長は,議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るものとする。

(議会図書室の充実)

第29条 議会は,議員の調査研究活動を支援するために設置する議会図書室を適正に管理し,運営するとともに,その図書,資料等の充実に努めるものとする。

(予算の確保)

第30条 議会は,議会の機能を保持し,円滑な議会運営を行うため,予算の確保に努めるものとする。

第10章 議員の責務及び見直し手続

(議員の責務)

第31条 議員は,この条例,議会に関する他の条例,規則等を遵守して,市民の信託に応えなければならない。

2 議員は,その任期開始後速やかに,この条例,議会に関する他の条例,規則等について研修を行うものとする。

(見直し手続)

第32条 議会は,この条例の目的が達成されているかどうかについて検証し,2年ごとに,この条例の改正その他必要な措置を講ずるものとする。

第11章 補則

(具体化の推進)

第33条 議会は,この条例の目的及び理念を具体化するため,議会改革に取り組み,推進しなければならない。

2 この条例の施行に関し必要な事項は,別に定める。

この条例は,平成24年4月1日から施行する。ただし,第20条第2項の規定は,平成24年5月1日から施行し,同日以後の期間に対応する政務調査費について適用する。

(平成25年3月1日条例第1号)

(施行期日)

1 この条例は,平成25年3月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例による改正後の笠岡市議会政務活動費の交付に関する条例及び笠岡市議会基本条例の規定は,この条例の施行の日以後に交付される政務活動費から適用し,この条例の施行の日前にこの条例による改正前の笠岡市議会政務調査費の交付に関する条例の規定により交付された政務調査費については,なお従前の例による。

(令和元年6月27日条例第8号)

この条例は,公布の日から施行する。

笠岡市議会基本条例

平成23年10月7日 条例第16号

(令和元年6月27日施行)

体系情報
第2編 会/第1章
沿革情報
平成23年10月7日 条例第16号
平成25年3月1日 条例第1号
令和元年6月27日 条例第8号