カブトガニって何種類いるの?50年前には5種類いたの!?
カブトガニって何種類?
かなりマニアックな内容のページです。
しかし!
カブトガニマスターになりたい方は、ぜひ読み進めてください!
1970年頃は3属5種、今は2属4種
※まず「学名」が何か分からない方、「属」「種」が何か分からない方は
こちらのカブトガニの学名の話を先にご一読ください。
さて、題名だけ聞くと「1種が絶滅してしまったのでは?」
と、思いますが、じつは違います。
まず、
1.今と比べて別に1種類多いと考えられていて
2.属も今とは別だと考えられていた種類がいた
ということです。
どういうことか、今と昔で比較してみましょう。
↓現在の分類↓
↓1970年頃の考え方がこちら↓
昔はマルオカブトガニがCarcinoscorpius属に入っており、現在ではいないTachypleus hoeveniがいます。
この分類がどのように現在の分類に変わったのか、簡単に説明します。
hoeveniは何もの?
hoeveni(ヘベニ)は、タイの南部・マラヤ北部の海域に生息していたと考えられていました。
詳しくは分かりませんが、エラの形が少し違うなどの特徴があったそうですが、1960年頃にミナミカブトガニのシノニム(同物異名)であると結論づけられました。
つまり、「新種のカブトガニだと思っていたけど、すでにいるカブトガニでした\(◎o◎)/!」
と、いうことです。
ちなみに、オランダの動物学者「Jan Van der Hoeven (ヤン・ファン・デル・フーフェン)」にちなんでその名がつけられたのは、1902年のことでした。
Carcinoscorpius属はいつ消えた?
もともとCarcinoscorpius属にはマルオカブトガニが分類されているのみでした。
現在はマルオカブトガニはTachypleus属に分類されていますが、それはなぜなのでしょうか。
じつは1980年のこと。
4種のカブトガニすべてのオス・メスの組み合わせで、人工的に種間交雑が行われました。
↓このような実験↓
これまで形態的にはミナミカブトガニとカブトガニが近縁だと考えられていましたが、実験の結果を受けて、遺伝子的にマルオカブトガニとカブトガニの方が近縁だということが判明しました!
この結果はじつに意外な事実でした。
そして、血液をもとに免疫学的な比較をしてみても、やはりマルオカブトガニとカブトガニは近縁な存在だったのです。
その結果、次のような系統樹が作られました。
こうなると、Tachypleus属のミナミカブトガニとカブトガニにはさまれたマルオカブトガニは、別の属になることは考えられません。
このような経緯で、Carcinoscorpius属は消えていったのでした。
いかがでしたか?
カブトガニの知識は深まりましたか?
もっと詳しく説明すると、「カブトガニ」は学名が名づけられた1819年当初はアメリカカブトガニと同じLimulus属でした。
これ以上話すとパニックになりそうなので、今回はこのへんで。