○笠岡市防災基本条例

平成25年3月28日

条例第11号

災害から生命,身体及び財産を守り,安心して暮らすことは,市民共通の願いである。

本市では,平成16年の大潮満潮時における台風襲来によって,住宅などへの浸水が1,000棟を超えるなど大規模な被害を記録したほか,今後も地球温暖化に伴う気候変動等によって,大雨や集中豪雨の増加,台風の大型化などが懸念されている。

また,わが国は,世界有数の地震大国であり,本市にも甚大な被害をもたらす地震等が発生すると予想されている。

こうした自然災害に対し,被害を最小限にとどめるためには,これまで以上に防災意識の高揚を図り,市民,自主防災組織,事業者,市,関係機関等が相互に連携し,協働して災害対策に取り組んでいく必要があることから,この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は,災害対策に関する基本理念を定めるとともに,過去幾多の大災害における教訓から,災害に因る被害を最小限にとどめる「減災」の考え方を防災の基本方針として,市民,自主防災組織,事業者及び市の責務を明らかにし,誰もが連携及び協力して迅速な対応を図ることができる,災害に強い,安全で安心なまちの実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

(1) 災害 暴風,豪雨,洪水,高潮,地震,津波その他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。

(2) 防災 災害を未然に防止し,災害発生時における被害を最小限にとどめるための対策,取組及び施策をいう。

(3) 市民 市内に居住し,又は市内で働き,学び,若しくは活動する者をいう。

(4) 自主防災組織 自らが居住する地域を守るため,当該地域の住民が自発的に結成する防災組織をいう。

(5) 事業者 市内において事業を営む法人又は個人をいう。

(6) 関係機関 国,県,警察,消防といった公共機関及び消防団,婦人防火クラブに代表される地域に組織された団体組織をいう。

(7) 笠岡市地域防災計画 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第42条の規定に基づき作成した市域に係る防災に関する計画をいう。

(8) 災害時要援護者 高齢者,障害者等災害時に援護について特に配慮を要する者をいう。

(基本理念)

第3条 市民,自主防災組織,事業者,市,関係機関等は,次に掲げる理念に基づき,その責務を果たすとともに,相互に連携し,協働して災害対策を実施するものとする。

(1) 市民が自らの安全を自らで守る「自助」の理念

(2) 市民,自主防災組織,事業者等が地域において互いに助け合う「共助」の理念

(3) 市,関係機関等が市民の生命,身体及び財産を災害から保護する「公助」の理念

(市民の責務)

第4条 市民は,災害に関する教訓を後世へ伝えるとともに,平常時から家庭において災害時の避難や連絡の方法等について話し合い,自助の理念に基づく災害対策の推進に努めるものとする。

2 市民は,災害による被害を最小限にとどめるため,自らが所有する建築物の耐震性の強化,地震による家具等の転倒防止を行うなど安全策を講ずるよう努めるものとする。

3 市民は,災害に備え,最寄りの避難所及び避難経路の確認に努め,災害発生時には,危険を感じたら速やかに自主避難するとともに,市が発する緊急情報等に注意し,避難勧告,避難指示等が発令されたときは,直ちにこれに応ずるものとする。

4 市民は,自らが居住する地域を守るため,積極的に自主防災組織の結成に取り組むとともに,自主防災組織,事業者,市,関係機関等が実施する災害対策,防災に関する学習会及び防災訓練等への積極的な参加に努めるものとする。

5 市民は,市,関係機関等が実施する災害対策に協力するよう努めるものとする。

(自主防災組織の責務)

第5条 自主防災組織は,防災に関する普及啓発,地域における安全点検その他の災害予防対策及び避難誘導,初期消火,救出救護など,共助の理念に基づく災害対策を講ずるよう努めるものとする。

2 自主防災組織は,市,関係機関等の連携のもと,地域内の災害時要援護者等と密な連絡を図り,速やかな避難体制の構築に努めるものとする。

3 自主防災組織は,市,関係機関等が実施する災害対策に協力するとともに,地域住民の安全確保に努めるものとする。

(事業者の責務)

第6条 事業者は,災害への備えとして,事前に危険要因を把握し,危険要因排除等の対策,災害時の初期活動のための準備を行うなど,自主防災活動の取組に努めるものとする。

2 事業者は,市内区域において災害が発生し,又は発生するおそれがある場合において,来所者及び従業者の安全を確保し,事業を継続することができるよう努めるものとする。

3 事業者は,共助の理念に基づき,市民,自主防災組織等と連携し,地域住民の安全が確保できるよう体制の整備に努めるものとする。

4 事業者は,市,関係機関等が実施する災害対策に協力するよう努めるものとする。

(市の責務)

第7条 市は,基本理念の適切な運用について検証し,その促進が図られるよう笠岡市地域防災計画に検討を加えるとともに,当該計画に定められた施策の実効性の確保に努めなければならない。

2 市は,市民の知恵及び情報を防災にいかす自主防災組織の結成及び育成の支援に努めなければならない。

3 市は,防災に関する知識の普及及び情報の提供を積極的に推進し,市民の防災に関する意識の向上に努めなければならない。

4 市は,あらかじめ,災害時要援護者に関する情報を把握するよう努めるとともに,自主防災組織等と連携し,災害時要援護者の支援を行うための体制の整備に努めなければならない。

5 市は,関係機関等と連携して,災害の予防,応急対策,災害復旧等に関する各種災害対策を推進することにより,災害に強いまちを築くよう努めなければならない。

6 市は,災害等に関する緊急情報を早期かつ正確に把握し,市民,自主防災組織,事業者等が当該情報を入手できる体制の整備及び充実に努めなければならない。

7 市は,災害の発生が予測されるとき,又は災害が発生したときは,笠岡市地域防災計画に基づき,避難誘導,避難所の開設等を行うほか,市民等への迅速な広報に努めなければならない。

この条例は,平成25年4月1日から施行する。

笠岡市防災基本条例

平成25年3月28日 条例第11号

(平成25年4月1日施行)