○笠岡市男女共同参画推進条例

平成15年7月1日

条例第21号

目次

前文

第1章 総則(第1条~第6条)

第2章 男女共同参画社会の形成の推進に関する基本的施策(第7条~第16条)

第3章 男女共同参画社会の形成を阻害する行為の制限(第17条・第18条)

第4章 推進体制(第19条・第20条)

第5章 補則(第21条)

附則

すべての人が性別にかかわりなく個性と能力を十分に発揮し,互いに人権を尊重し合う男女共同参画社会の実現は,緊要な課題である。

本市においては,平成13年12月笠岡市人権尊重の都市づくり条例を制定し,すべての市民の互いの人権が尊重され,明るく住みよい社会を実現するための人権尊重の施策を進めている。男女共同参画社会の実現に向けては,その指針となる「かさおかウィズプラン」を基に,積極的に施策を展開しているが,今なお性別による固定的役割分担意識やそれに基づく社会的慣行は,依然として残っている。また,配偶者からの暴力が社会問題化するなど,真の男女平等の達成には未だ多くの課題が残されている。

急速に進む少子高齢化,高度情報化及び国際化の中で,真に調和のとれた活力ある豊かな地域社会を築いていくためには,男女が共に対等な立場であらゆる分野に参画し,一人一人の価値観に基づいた多様な生き方を選択することのできる「住みよいまち」を創造することが不可欠である。

このような認識から,市,市民及び事業者が一体となって男女共同参画社会の実現に向けた取組を総合的かつ計画的に推進するため,この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,男女共同参画社会の形成に関し,基本理念を定め,市,市民及び事業者の責務を明らかにするとともに,男女共同参画社会の形成を推進する施策の基本的な事項を定めることにより,男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進し,男女の個性及び尊厳が守られ,活力ある豊かな地域社会の実現に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の定義は,当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画社会 男女が性別にかかわりなく個人として尊重され,社会の対等な構成員として,自らの意志によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され,男女が均等に社会的,政治的,経済的及び文化的利益を享受することができ,かつ,共に責任を担う社会をいう。

(2) 積極的改善措置 社会のあらゆる分野における活動に参画する機会についての男女間の格差を改善するため,必要な範囲において男女のいずれか一方に対し,当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) ドメスティック・バイオレンス 配偶者等から受ける精神的,経済的,身体的又は言語的な暴力及び虐待をいう。

(4) 事業者 市内に事務所又は事業所を有する法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画社会の形成は,男女が直接的であるか間接的であるかを問わず性別により差別されることなく,個性と能力を十分に発揮する機会が確保されるとともに,一切の暴力を排除し,個人としての人権が尊重されることを旨として,行われなければならない。

2 男女共同参画社会の形成は,社会における制度又は慣行が,性別による固定的な役割分担等を反映して,男女の社会における活動の選択に対して影響を及ぼすことのないよう配慮されなければならない。

3 男女共同参画社会の形成は,男女が政策又は方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として,行われなければならない。

4 男女共同参画社会の形成は,男女が相互の協力と社会の支援の下に,子の養育,家族の介護その他の家庭生活における活動及び社会生活における活動に対等に参画することができるようにすることを旨として,行われなければならない。

5 男女共同参画社会の形成は,男女が互いの性を理解し合い,性と生殖に関する健康に関し,個人の人権が尊重されることを旨として,行われなければならない。

6 男女共同参画社会の形成は,男女共同参画の推進が国際社会における取組と密接な関係を有していることから国際的な交流と協力の下に行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は,男女共同参画社会の形成の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を策定し,及び実施する責務を有する。

2 市は,前項に規定する施策を推進するに当たり,国,県,事業者及び市民と相互に連携と協力を図るよう努めなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は,男女共同参画社会について理解を深め,家庭,学校,地域,職場等のあらゆる場において,男女共同参画社会の形成に努めるとともに,市が実施する前条第1項に規定する施策に協力するよう努めなければならない。

2 市民は,家庭,学校,地域,職場等において,ドメスティック・バイオレンス又は虐待の事実を知った場合には,関係機関へ通報するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第6条 事業者は,その事業活動に関し,第3条の基本理念にのっとり,男女共同参画社会の形成に自ら努めるとともに,市が実施する第4条第1項に規定する施策に協力するよう努めなければならない。

2 事業者は,男女共同参画社会の形成のため,当該事業活動に関し,積極的改善措置を講ずるよう努めなければならない。

第2章 男女共同参画社会の形成の推進に関する基本的施策

(基本計画)

第7条 市長は,男女共同参画社会の形成の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,男女共同参画社会の形成の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 市長は,基本計画を策定するに当たっては,市民の意見を反映することができるよう適切な措置を講ずるものとする。

3 市長は,基本計画を策定したときは,これを公表するものとする。

4 前3項の規定は,基本計画の変更について準用する。

(調査及び研究)

第8条 市は,男女共同参画社会の形成に関し,必要な調査及び研究を行うとともに,情報及び資料を収集し,市民及び事業者へ提供しなければならない。この場合において,笠岡市個人情報の保護に関する法律施行条例(令和5年笠岡市条例第1号)に基づき,個人情報の保護に関し配慮をしなければならない。

(普及啓発)

第9条 市は,男女共同参画社会の形成に関して,広く市民及び事業者の理解が深まるよう啓発,学習促進等に積極的に努めるものとする。

(年次報告)

第10条 市長は,男女共同参画社会の形成の推進に関する施策の推進状況等を明らかにした年次報告書を作成し,公表するものとする。

(市民又は事業者への支援)

第11条 市は,市民又は事業者が実施する男女共同参画社会の形成に関する自主的な取組に対し,情報の提供その他必要な支援を行うものとする。

(家庭生活等と職業生活の両立支援)

第12条 市は,男女が共に,育児,介護その他の家庭生活及び地域生活と職業生活とを両立することができるように,子の養育及び家族の介護等において必要な支援を行うものとする。

(教育の推進)

第13条 学校教育及び社会教育に携わる者は,男女共同参画社会の形成に果たす教育の重要性を深く認識し,教育本来の目的を実現する過程において,男女共同参画社会の基本理念に配慮して教育を行うよう努めなければならない。

2 市は,次代を担う子どもたちの教育に関し,男女が共に積極的に参画するよう啓発に努めなければならない。

(相談の対応等)

第14条 市は,性別による差別的扱いその他の男女共同参画社会の形成を阻害する人権の侵害に関し,市民又は事業者からの相談の申出があった場合には,関係機関等と協力し適切な措置を講ずるよう努めなければならない。

(審議会等における積極的改善措置)

第15条 市長その他の執行機関は,附属機関として設置する審議会等の委員を委嘱し,又は任命するときは,男女いずれか一方の委員の数が,委員の総数の10分の4未満とならないよう努めなければならない。

(苦情の処理)

第16条 市民及び事業者は,市が実施する男女共同参画社会の形成の推進に関する施策について苦情があるときは,市長に申し出ることができる。

2 市長は,前項の申出を受けたときは,適切に処理しなければならない。

第3章 男女共同参画社会の形成を阻害する行為の制限

(性別による権利侵害の禁止)

第17条 何人も,男女共同参画社会の形成を阻害する次に掲げる行為を行ってはならない。

(1) 家庭,学校,地域,職場等あらゆる場において,性別による差別的言動又は相手の望まない性的な言動等により,不快感若しくは不利益を与え,又は生活環境を害するような行為

(2) ドメスティック・バイオレンス

(市民に表示される情報に関する措置)

第18条 市は,広く市民に表示される情報において,性別による固定的な役割分担及び異性に対する暴力等を連想させ,又は助長する表現その他不必要な性的表現をしないよう努めなければならない。

第4章 推進体制

(推進体制の整備)

第19条 市は,市民,事業者と互いに協働して男女共同参画社会の形成の推進に関する施策を円滑,総合的に企画,調整及び実施するため,市長を長とする推進体制を整備するものとする。

(男女共同参画推進委員会)

第20条 市長は,男女共同参画社会の形成の推進に関する施策について,笠岡市男女共同参画推進委員会(以下「委員会」という。)を設置し,意見を聴くことができる。

2 委員会は,関係者に対し資料の提出及び説明を求め,必要があると認めるときは,当該関係者に対し是正その他の措置を講ずるよう勧告等を行うことができる。

3 委員会は,市長が委嘱する委員15人以内をもって組織する。

4 男女のいずれか一方の委員の数は,委員の総数の10分の4未満とならないよう選任するものとする。

5 委員の任期は,2年とする。ただし,委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。

6 委員は,再任されることができる。

7 前各項に定めるもののほか,委員会の組織及び運営に関し必要な事項は,規則で定める。

第5章 補則

(委任)

第21条 この条例に定めるもののほか,必要な事項は,規則で定める。

この条例は,公布の日から施行する。

(令和5年1月30日条例第1号)

(施行期日)

第1条 この条例は,令和5年4月1日から施行する。

笠岡市男女共同参画推進条例

平成15年7月1日 条例第21号

(令和5年4月1日施行)