笠岡市の台所事情
笠岡市の家計簿
「笠岡市の台所事情」
令和3年度の笠岡市の財政状況を一家の家計に例えてお知らせしたいと思います。
~笠さん一家の紹介~笠さん一家はお父さん、お母さん、お姉さん、弟の4人家族です。お父さんはサラリーマンで、給料が主な収入ですが、その他に所有する小さなアパートの家賃収入があります。また、お姉さんは私立の高校に通うために下宿し、弟は小学生で週に2回学習塾に行っています。おじいちゃんは、岡山に住んでいてときどき帰ってきます。
1.収入について
まず,笠岡市の1年間の収入(市ではこれを歳入と呼びます)を見てみましょう。令和3年度の笠岡市の収入は約273億円となりました。ずいぶん大きな数字です。
このままでは額が大きすぎてなかなか実感がわいてきません。では、一家の給料・家賃収入を420万円として家計に置き換えてみましょう。次の表1をご覧ください。
【令和3年度決算額:収入の部】
普通会計ベース※1
【表1】
笠岡市の状況を表したもの | 家計に置き換えた場合 | 比率 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
年間 | 1ヶ月 | |||||
自 主 財 源 | 市税・使用料 ・財産収入など | 95億6134.6万円 | 給料・家賃収入 | 420.0万円 | 35.0万円 | 35.1% |
繰入金 | 2億2760.1万円 | 貯金の取崩し | 10.0万円 | 0.8万円 | 0.8% | |
依 存 財 源 | 国県支出金 地方交付税 地方消費税 など | 144億8914.7万円 | おじいちゃん からの援助 | 636.5万円 | 53.0万円 | 53.1% |
市債 | 29億9691.7万円 | 借金 | 131.6万円 | 11.0万円 | 11.0% | |
収入の合計 | 272億7501.1万円 | 収入の合計 | 1198.1万円 | 99.8万円 | 100% |
このようにして見てみると、給料(市税など)だけでなく、いろいろな種類の収入があることが分かります。
なかでも令和3年度はおじいちゃんからの援助(国や県からの補助金、地方交付税など)が全体の53.1%を占めており、特に多くなっています。
その他には、預貯金の取崩し(繰入金)や金融機関などから借金(市債)をしています。
いろいろな種類の収入で一家は生計を立てているんです。
収入におけるポイント
自主財源と依存財源
収入を見るうえで重要なポイントは、表1の一番左にある「自主財源」と「依存財源」の割合です。自主財源と依存財源とは何でしょうか。
自主財源とは・・・
文字どおり地方公共団体が自主的に収納できるお金のことを言い、市税や使用料・手数料などがこれに該当します。
市税であれば、市が課税をして集めることができますし、住民票交付の手数料も市が独自に決めて収納することができます。
このような収入が自主財源です。
依存財源とは・・・
国や県の決定により交付される収入のことで、補助金や地方交付税などがこれに該当します。
笠岡市では、この割合が自主財源35.9%、依存財源64.1%となっています。依存財源が多いとそれだけ国や県に頼る部分が多いということですから、結果として市が自由に使えるお金の割合が減ります。財政の健全化を図るためには自主財源の確保が重要な課題です。
2.支出について
それでは次に、お金の使いみちである支出(市ではこれを歳出と呼びます)を見てみましょう。次の表2をご覧ください。
【令和3年度決算額:支出の部】
普通会計ベース※1
【表2】
笠岡市の状況を表したもの | 家計に置き換えた場合 | 比率 | |||
---|---|---|---|---|---|
年間 | 1ヶ月 | ||||
人件費 | 41億1774.3万円 | 食費 | 180.9万円 | 15.0万円 | 15.1% |
公債費 | 22億6819.4万円 | ローンの返済 | 99.6万円 | 8.3万円 | 8.3% |
扶助費 | 53億691.0万円 | 医療費 | 233.1万円 | 19.4万円 | 19.4% |
物件費 | 33億5896.8万円 | 光熱水費や電話代、 塾代など | 147.5万円 | 12.3万円 | 12.3% |
普通建設事業費・ 災害復旧費・ 維持補修費 | 29億1084.8万円 | 自宅の増改築費、 修繕費、車の車検代 | 127.9万円 | 10.6万円 | 10.7% |
繰出金 | 23億1387.5万円 | 子どもへの仕送り | 101.6万円 | 8.5万円 | 8.5% |
補助費等・投資 及び 出資金・貸付金 | 51億5389.9万円 | 友人・親戚への援助 | 226.4万円 | 18.9万円 | 18.9% |
積立金 | 9億5794.4万円 | 貯金をする | 42.1万円 | 3.5万円 | 3.5% |
歳計剰余金 | 8億8663.0万円 | タンス貯金、財布の中身など | 39.0万円 | 3.3万円 | 3.3% |
支出の合計 | 272億7501.1万円 | 支出の合計 | 1198.1万円 | 99.8万円 | 100% |
支出の中では、医療費(扶助費)がもっとも多くを占めています。
次いで友人・親戚への援助(補助費等・投資及び出資金・貸付金)、食費(人件費)と続きます。
このほかにも、自宅の増改築費、修繕費、車の車検代(普通建設事業費・災害復旧費・維持補修費)、光熱水費や電話代、塾代(物件費)、さらにはローンの残高(市債残高)が1205.8万円(普通会計で274億4933万円)あるので、その返済(公債費)などもしました。
このように、支出にもいろいろなものがあります。
支出におけるポイント
義務的経費
支出のうち、食費(人件費)、ローンの返済(公債費)、医療費(扶助費)の3つを義務的経費と呼びます。
義務的経費とは、その支出が義務づけられ、必ず支払わなければならないものです。
この義務的経費の比率が大きければ大きいほど、自由に使うお金が少なくなりますから、義務的経費が増えることは財政の健全化を図るにあたっての大きな障害となります。
なお、笠岡市では、義務的経費の割合が42.8%と、支出の4割を超えています。
これまで収入と支出の状況をみてきましたが、このような状況の中、笠岡市では令和3年度の実質単年度収支(会社組織での当期純利益に類似するものです)は6億3611.1万円の黒字となりました。
Q&A質問コーナー
質問コーナーでは、皆さんからの質問をお待ちしております。
皆さんからの質問には、私たち財政係がお答えします。
-あとがき-
ということで、今回もちょっと強引でしたが、市の収入と支出を家計に置き換えて説明してきました。令和3年度も前年度に引き続いて、おじいちゃんに援助をしてもらいながら新型コロナウイルス感染症によって困っている人を助けるためなどにお金をたくさん使いました。また、毎年のことながら、医療費(扶助費)やローンの返済(公債費)などもかさみ、苦しいながらもなんとかやりくりをしました。おじいちゃんの台所事情(国の財政)も非常に厳しく、いままでどおりの援助をもらえるかどうかわかりません。笠さん一家の貯金(基金残高)は増えたものの、97.4万円(普通会計で22億1812.1万円)と決して多くはないですし、今後、自宅の増改築費(普通建設事業費)の支出も見込まれており、一家の台所事情は簡単には楽にならないでしょう。そんな中でも元気で幸せな家庭(市政)を築くために、計画(第7次総合計画)の実現に向けて、がんばっていきます。そのためにも台所事情を安定させるため、知恵を絞って、財源の確保と支出の適正化に努めていきます。
皆さんのご意見をお待ちしています。
※1 普通会計…一般会計とへき地診療施設会計、公共用地取得会計をまとめたものです。