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カブトガニの学名の話(11月6日)

印刷用ページを表示する更新日:2014年11月6日更新 <外部リンク>

カブトガニの学名の話

はじめに断っておきますが、かなりマニアックな話です。

「カブトガニのことなら何でも知りたい!」と思っていただける方には、ぜひ読み進めていただきたいと思います。
カブトガニ

『学名』ってなに?

ところで、学名とは何なのかご存知でしょうか?

まず、生物学の中には『分類学』という分野があります。

そしてその分類学上、生物は大きく「界(かい)・門(もん)・綱(こう)・目(もく)・科(か)・属(ぞく)・種(しゅ)」に分類されます。

たとえば、我々人間だと

動物界・脊椎動物門・哺乳綱・霊長目・ヒト科・ヒト属・ヒト

となります。この最後の「ヒト」が『標準和名』といって、日本全国共通の生物名となります。

カブトガニの場合は

動物界・無脊椎動物門・節口綱・カブトガニ目・カブトガニ科・カブトガニ

となります。

さて、では学名とはどこを指すのでしょうか?

正解は、(属名)と(種小名)をラテン語標記したものを指します。

学名説明

ちなみに、この属名と種小名で生物名を示すことを『リンネの二名法』と呼びます。

『リンネ』とは、スウェーデンの生物学者であるカール・フォン・リンネのことです。
(「分類学の父」と言われる偉大な人物です) 

本題の『学名』について

さて、まずは簡単に説明するためにヒトの学名について説明します。

ヒトの学名は、Homo sapiens(ホモ サピエンス)です。

聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

ホモは「ヒト」、サピエンスは「賢い」「知恵のある」という意味ですので「賢いヒト」という意味になります。

では、いよいよカブトガニの学名ですが、Tachypleus tridentatus(タキプレウス トリデンタトゥス)といいます。

タキプレウスとはギリシャ語に由来して「速く泳ぐ」、トリは「3つの」、デンタトゥスは「ノコギリ歯状の歯・トゲ」という意味があります。

つまり、「速く泳ぐ3つのノコギリ歯状のトゲ」!

意味がわかりません!

しかし、現在Tachypleusは「カブトガニ属」という意味で使われていますので、それを踏まえると「3つのノコギリ歯状のトゲのあるカブトガニ」です。

お!答えが見えてきました!

では「3つのノコギリ歯状のトゲ」とはどこにあるのでしょうか。

これからカブトガニの尾剣の付け根の写真をお見せします。
上の写真のカブトガニの部位

↓「3つのノコギリ歯状のトゲ」見つけることができるかな!?↓
カブトガニの尾剣の付け根

カブトガニの尾剣の付け根

改めて見るとトゲだらけの生き物ですね。

さて、「3つのノコギリ歯状のトゲ」を見つけることができたでしょうか?

↓正解はこちらになります↓
答え

確かにトゲが3本並んでいますね。

この3本のトゲがなぜ学名になっているかというと、カブトガニは2属4種が現存しているのですが、この種のカブトガニ以外のカブトガニ(ミナミカブトガニ・マルオカブトガニ・アメリカカブトガニ)にはこの3本のトゲがありません。カブトガ二4種の尾剣の付け根比較

従って、尾剣の付け根のトゲは、カブトガニを分類する上で重要な部位になるわけです。