○笠岡市の市長等,職員及び議員のハラスメント防止に関する条例

令和5年12月25日

条例第31号

(目的)

第1条 この条例は,ハラスメントの防止及び排除のための措置並びにハラスメントに起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置に関し,必要な事項を定めることにより,市長等,職員及び議員がハラスメントを理解し,人格を尊重し,快適に働くことができる良好な職場環境を確立することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

(1) ハラスメント パワーハラスメント,セクシャルハラスメント,妊娠,出産,育児又は介護に関するハラスメントその他の誹謗,中傷,風評等により相手方に対して人権を侵害し,又は不快にさせる行為をいう。

(2) 市長等 市長,副市長,教育長及び病院事業管理者をいう。

(3) 議員 市議会議員をいう。

(4) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職の職員,同条第3項に規定する特別職の職員(市長等及び議員を除く。)及び同法第22条の2に規定する会計年度任用職員並びに契約による派遣職員等をいう。

(5) 職場 職員がその職務を遂行する場所をいう。ただし,出張先その他職員が通常勤務をする場所以外の場所で,実質的に職場と相当因果関係があるものを含むものとする。

(6) ハラスメントに起因する問題 ハラスメントのため職員の勤務環境が害されること及びハラスメントへの対応に起因して職員がその勤務条件につき不利益を受けること。

(7) 相談員 ハラスメントに関する相談及び苦情を受け付ける者をいう。

(市長の責務)

第3条 市長は,職員がその能力を十分に発揮できる職場環境を確保するため,ハラスメントの防止及び排除並びに被害者への配慮に努めるとともに,ハラスメントに起因する問題が生じた場合は,必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

(議員の責務)

第4条 議員は,市民の代表者として,市政に携わる権能及び責務を自覚するとともに,常に高い倫理観を持ち,ハラスメントの防止に努めなければならない。

(職員及び所属長の責務)

第5条 職員は,他の職員に対し,互いの人格を尊重し,職務遂行上の対等なパートナーであることを認識し,ハラスメントの防止に努めなければならない。

2 所属長は,良好な勤務環境を確立するため,ハラスメントの防止に努めるとともに,ハラスメントに起因する問題が生じた場合においては,迅速かつ適切に対処するとともに,ハラスメントに係る調査等に協力しなければならない。

(相談等の申出等の手続)

第6条 職場におけるハラスメントを受けた又は目撃し,若しくは把握した職員は,人事担当課職員の相談員又は人事担当課が設置する相談員若しくは第8条に規定する第三者相談窓口に対し,ハラスメントの相談及び苦情を書面,口頭又はこれに準じた手段により申し出ること(以下「申出」という。)ができる。

2 申出は,現実にハラスメント事案が発生した場合に限らず,その発生のおそれがある場合にも行うことができる。

3 ハラスメントを受けた職員が心身の故障等により入院していることその他特別の事情により申し出ることができない場合は,当該職員の同僚,上司又は4親等以内の親族等で当該ハラスメントの事実関係を認識している者が申出をすることができる。

4 市長は,申出に対し,当事者,関係職員等への聴き取り等,事実確認等の調査を行い,適正に対処しなければならない。この場合において,申出に係る事案の当事者が市長等又は議員とされているときは,当該調査の結果について,第10条に規定する委員会の意見を聴いた上で,必要な措置を行わなければならない。

5 前項の場合において,申出に係る事案の当事者が議員とされているときは,当該申出について議長に報告し,協力して調査を行わなければならない。

6 申出に係る事案の当事者が市長とされている場合,この条例の規定による権限の行使は,地方自治法(昭和22年法律第67号)第152条の規定に準じて副市長等がその職務を代理する。

7 申出に係る事案の当事者が議長とされている場合,この条例の規定による権限の行使は,地方自治法第106条の規定に準じて副議長が,議長及び副議長が共に当事者となったときは,地方自治法第107条の規定に準じて年長の議員が,その職務を代理する。

(相談員)

第7条 市長は,前条に規定する人事担当課職員の相談員及び人事担当課が設置する相談員を,あらかじめ選任し,職員に対して周知を行うものとする。

2 前項の相談員は,男女のいずれか一方の相談員の数が,相談員の総数の10分の4未満とならないよう努めなければならない。

(第三者相談窓口)

第8条 市長は,申出に対し,その円滑かつ公正な解決を図るため,第三者によるハラスメント相談窓口(以下「第三者相談窓口」という。)を置く。

2 市長は,第三者相談窓口の相談員を,ハラスメントに関して専門的知識を有する者(法人を含む。)からあらかじめ選任し,職員に対して周知を行うものとする。

(相談又は苦情の処理)

第9条 第7条及び前条に規定する相談員は,相談又は苦情の申出を行った職員等(以下「相談者」という。)の同意を得て人事担当課長に報告するとともに,人事担当課長と連携して相談者から事情の聴取を行い,当該問題の事実関係の確認及び当該相談又は苦情に係る当事者に対する助言等により,当該問題を迅速かつ適切に解決するよう努めるものとする。また,相談員は,必要に応じて相談者に対して,書類,物件その他証拠を求めることができる。

2 相談者は,相談員に相談又は苦情の申出を行うほか,相談員に対して次条に規定する笠岡市ハラスメント対策委員会(以下「委員会」という。)での処理を求めることができる。

3 相談員又は人事担当課長は,事案の内容,状況等から適切かつ効果的な対応が必要であり,委員会で処理することが適当と判断したときは,委員会にその処理を依頼するものとする。

(ハラスメント対策委員会)

第10条 市長は,ハラスメントに関する申出を調査審議し,公平な処理に当たるため,笠岡市ハラスメント対策委員会を設置する。

2 委員会は,次に掲げる事項を所掌する。

(1) ハラスメントに係る事実関係の調査に関すること。

(2) ハラスメントに係る対応に関すること。

(3) ハラスメントの防止に関すること。

(4) その他ハラスメントに関し,市長が必要と認める事項に関すること。

3 委員会は,市長が委嘱又は任命する次の各号に掲げる委員6人以内をもって組織する。

(1) 申出に係る当事者が市長等又は議員である場合 有識者。ただし,当事者と利害関係にある者は除く。

(2) 申出に係る当事者が職員である場合 市職員。ただし,調査審議に当たり,臨時に有識者の委員を別に置くことができる。

4 市長は,前項第1号に規定する委員を委嘱する場合は,議長と協議し,同意の上,選任しなければならない。

5 委員は,公平かつ公正にその職務を遂行しなければならない。

6 委員会は,速やかに調査審議に当たり,必要に応じて市長等,議員,職員その他申出に関係する者(以下この項において「関係者」という。)に対して聴取することができる。また,委員会は,書類,物件その他の証拠を関係者に対して求めることができる。

7 委員会は,調査審議を終えたときはその内容をまとめ,市長及び議長に報告するものとする。ただし,議長への報告は,申出に係る当事者が市長等又は議員である場合に限る。

8 委員会の庶務は,総務部において行う。

(対応措置)

第11条 市長又は議長は,事実関係の公正な調査によりハラスメントの事実が確認された場合は,次の各号の行為者に対し,当該各号に定める内容を行うことができる。

(1) 市長等又は議員 公表

(2) 職員 市長が別に定めるところによる懲戒処分等

(プライバシーの保護及び秘密の保持)

第12条 第三者相談窓口の相談員,委員会の委員その他申出に関する業務に携わる職員は,ハラスメントの当事者及び関係者のプライバシーに十分配慮し,職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(不利益取扱いの禁止)

第13条 市長等,職員又は議員は,ハラスメントに関する相談等を申し出たことを理由として,当該職員に対し不利益な取扱いをしてはならない。

(申出件数の公表)

第14条 市長は,地方公務員法第58条の2第3項及び笠岡市人事行政の運営等の状況の公表に関する条例(平成17年笠岡市条例第14号)の規定による公表と併せて,ハラスメントに関する当該年度の前年度の申出の件数を公表するものとする。

(研修等)

第15条 市長は,ハラスメントの防止等を図るため,市長等及び職員に対し必要な研修等を実施しなければならない。

2 議長は,ハラスメントの防止等を図るため,議員に対し必要な研修等を実施しなければならない。

(適用範囲)

第16条 この条例の規定は,市長等,職員及び議員に対するハラスメント等の問題について適用する。

(委任)

第17条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。

この条例は,公布の日から施行する。

笠岡市の市長等,職員及び議員のハラスメント防止に関する条例

令和5年12月25日 条例第31号

(令和5年12月25日施行)