○笠岡市債権管理条例

平成29年9月25日

条例第21号

(目的)

第1条 この条例は,市の債権の管理に関し必要な事項を定めることにより,その管理の一層の適正化を図り,もって公正かつ健全な行財政運営に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の定義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 市の債権 金銭の給付を目的とする市の権利をいう。

(2) 非強制徴収債権 市の債権のうち,地方自治法(昭和22年法律第67号)第231条の3第3項に規定する歳入に係る債権,同法第240条第4項第3号から第8号までに掲げる債権及び地方税法(昭和25年法律第226号)第1条第1項第14号に規定する地方団体の徴収金に係る債権を除いたものをいう。

(法令等との関係)

第3条 市の債権の管理に関する事務の処理については,法令又は他の条例に特別の定めがある場合を除くほか,この条例の定めるところによる。

(市長等の責務)

第4条 市長(地方公営企業法(昭和27年法律第292号。以下,この項において「法」という。)第8条第2項により管理者の権限を行う場合を含む。)及び笠岡市病院事業の設置等に関する条例(平成12年笠岡市条例第77号)第4条の規定により置かれる管理者(以下「市長等」という。)は,法令,条例及び規則又は法第10条の企業管理規程に基づき,適切かつ効率的な市の債権の管理を行わなければならない。

2 市長等は,市の債権の管理に関する事務の状況を的確に把握するとともに,当該事務の処理について必要な手続及び体制を整備するものとする。

(督促)

第5条 市長等は,非強制徴収債権について,履行期限までに履行しない者があるときは,期限を指定してこれを督促しなければならない。

(強制執行等)

第6条 市長等は,非強制徴収債権について,前条の規定による督促をした後相当の期間を経過してもなお履行されないときは,次に掲げる措置をとらなければならない。ただし,第9条の規定により徴収停止をする場合又は第10条の規定により履行期限を延長する場合その他特別の事情があると認める場合は,この限りでない。

(1) 担保の付されている非強制徴収債権(保証人の保証があるものを含む。)については,当該非強制徴収債権の内容に従い,その担保を処分し,若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり,又は保証人に対して履行を請求すること。

(2) 債務名義のある非強制徴収債権(次号に掲げる措置により債務名義を取得したものを含む。)については,強制執行の手続をとること。

(3) 前2号に該当しない非強制徴収債権(第1号に該当するもので同号に掲げる措置をとってなお履行されないものを含む。)については,訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求すること。

(履行期限の繰上げ)

第7条 市長等は,非強制徴収債権について履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは,遅滞なく,債務者に対し,履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし,第10条第1項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は,この限りでない。

(債権の申出等)

第8条 市長等は,非強制徴収債権について,債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において,法令の規定により市が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは,直ちに,そのための措置をとらなければならない。

2 前項に規定するもののほか,市長等は,非強制徴収債権を保全するため必要があると認めるときは,債務者に対し,担保の提供(保証人の保証を含む。)を求め,又は仮差押え若しくは仮処分の手続をとる等必要な措置をとらなければならない。

(徴収停止)

第9条 市長等は,非強制徴収債権で履行期限後相当の期間を経過してもなお完全に履行されていないものについて,次の各号のいずれかに該当し,これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認めるときは,以後その保全及び取立てをしないことができる。

(1) 法人である債務者がその事業を休止し,将来その事業を再開する見込みが全くなく,かつ,差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるとき。

(2) 債務者の所在が不明であり,かつ,差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。

(3) 金額が少額で,取立てに要する費用に満たないと認められるとき。

(履行延期の特約等)

第10条 市長等は,非強制徴収債権について,次の各号のいずれかに該当する場合においては,その履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において,当該非強制徴収債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。

(1) 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。

(2) 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり,かつ,その現に有する資産の状況により,履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。

(3) 債務者について災害,盗難その他の事故が生じたことにより,債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため,履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。

(4) 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る非強制徴収債権について,債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり,かつ,弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。

(5) 貸付金に係る非強制徴収債権について,債務者が当該貸付金の使途に従って第三者に貸付けを行った場合において,当該第三者に対する貸付金に関し,第1号から第3号までのいずれかに該当する理由があることその他特別の事情により,当該第三者に対する貸付金の回収が著しく困難であるため,当該債務者がその債務の全部を一時に履行することが困難であるとき。

2 市長等は,履行期限後においても,前項の規定により履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合においては,既に発生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金(以下「損害賠償金等」という。)に係る非強制徴収債権は,徴収すべきものとする。

(免除)

第11条 市長等は,前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行延期の特約又は処分をした非強制徴収債権について,当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約又は処分をした場合は,最初に履行延期の特約又は処分をした日)から10年を経過した後において,なお,債務者が無資力又はこれに近い状態にあり,かつ,弁済することができる見込みがないと認められるときは,当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。

2 前項の規定は,前条第1項第5号に掲げる理由により履行延期の特約をした貸付金に係る非強制徴収債権で,同号に規定する第三者が無資力又はこれに近い状態にあることに基づいて当該履行延期の特約をしたものについて準用する。この場合における免除については,債務者が当該第三者に対する貸付金について免除することを条件としなければならない。

3 前2項の規定により免除をする場合については,議会の議決を要しない。

(放棄)

第12条 市長等は,非強制徴収債権が次の各号のいずれかに該当する場合においては,当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等の全部又は一部を放棄することができる。

(1) 非強制徴収債権(時効による消滅について時効の援用を要するものに限る。)について,時効の期間が経過したとき(債務者が時効の援用をしない特別の理由があるときを除く。)

(2) 破産法(平成16年法律第75号)その他の法令の規定により債務者が当該非強制徴収債権につきその責任を免れたとき。

(3) 債務者が死亡し,その相続が開始された場合であって,限定承認があったとき又は相続人が不存在のときにおける相続財産の価額が,強制執行の費用並びに当該非強制徴収債権に優先して弁済を受ける市の債権及び市以外の者の有する金銭の給付を目的とする権利の価額の合計額を超えないと見込まれるとき。

(4) 次のからまでのいずれかに該当し,かつ,債務者が無資力又はこれに近い状態にあり,資力の回復が困難であると認められるとき。

 第9条の規定により徴収停止をし,その日から相当の期間を経過していること。

 第6条各号に掲げる強制執行等の措置をとってなお完全に履行されていないこと。

 担保の付されている非強制徴収債権について,担保権を実行するよりも徴収上有利であると認められる処分を債務者が自ら行うことにより履行してなお完全に履行されていないこと。

(和解)

第13条 市長は,非強制徴収債権について,債務者が有する全ての財産について第6条各号に掲げる強制執行等の措置をとるよりも徴収上有利であると認められる処分を当該債務者が自ら行うことにより履行してなお完全に履行されないと見込まれる場合であって,当該履行後に当該債務者が無資力又はこれに近い状態となり,かつ,資力の回復が困難となると見込まれるときは,当該履行を条件として当該非強制徴収債権のうち履行されないと見込まれる部分について放棄する旨の民事訴訟法(平成8年法律第109号)第89条又は第275条第1項の和解をすることができる。

(議会への報告)

第14条 市長は,毎年度,第12条の規定による非強制徴収債権の放棄及び前条の和解で定められた義務の履行の状況を取りまとめ,議会に報告しなければならない。

(規則等への委任)

第15条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則又は地方公営企業法第10条の企業管理規程で定める。

この条例は,平成29年10月1日から施行する。

笠岡市債権管理条例

平成29年9月25日 条例第21号

(平成29年10月1日施行)