○笠岡市議会議員政治倫理条例

平成23年10月7日

条例第17号

先に我々笠岡市議会は,議会基本条例を制定し,将来にわたり市民福祉の向上のため全力を挙げて市民の信託に応えることを誓った。このことは,議員に対する市民の揺るぎない信頼があって初めて実現できるものである。

そのためには,議員は,市民の代表としての自覚と良識を持ち,自らの明確な政治倫理基準に基づき,誇りと強い意志をもって市政を担いつつ,常に説明責任を果たしていくことが必要である。

ここに,議員と市民との信頼関係を築く基盤として,全議員の総意によりこの条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は,市政が主権者である市民の厳粛な信託によるものであることを認識し,その受託者である市議会議員(以下「議員」という。)が,市民全体の代表者として,その人格と政治倫理の向上に努め,市政に対する市民の信頼に応えることにより,清廉かつ公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議員の責務)

第2条 議員は,市民全体の代表者として市政に携わる権能と責務を有することを深く認識し,公正・誠実・清廉を基本とし,厳しい倫理意識に徹して積極的に活動し,その使命の達成に努めなければならない。

(市民の役割)

第3条 市民は,市政の主権者として,議員及び議会を通して市政の運営に参画するとともに,市民全体の代表者である議員の政治活動に対し,関心を持つように努めるものとする。

2 市民は,議員に対し,次条に規定する政治倫理基準に反するような働きかけを行ってはならない。

(政治倫理基準)

第4条 議員は,政治資金規正法(昭和23年法律第194号),公職選挙法(昭和25年法律第100号),公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成12年法律第130号)等の諸規定とともに,次の各号に掲げる政治倫理基準を厳守しなければならない。

(1) 市民全体の奉仕者として,その品位と名誉を損なうおそれのある行為をしないこと。

(2) 市民全体の利益のみを指針として行動し,その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。

(3) 市が行う許可,認可又は請負契約,業務委託契約,物品納入契約その他の契約に関し,特定の企業又は団体のため不正な許認可又は契約をするよう働きかけないこと。

(4) 市職員の採用,昇格及び異動に関し,その地位を利用し,不正に影響力を行使しないこと。

(5) 政治活動に関して,会社,労働組合その他の団体(政党及び政治団体を除く。)から寄附を受けないこと。また,議員の後援団体についても,政治的・道義的批判を受けるおそれのある寄附を受けないこと。

(6) 国若しくは地方自治体の公務員又は関係団体(指定管理者を含む。)の役員若しくは職員に対し,その権限又はその地位による影響力を及ぼすことにより公正な職務の執行を妨げる等不当な行為をしてはならないこと。

2 議員は,前項に規定する政治倫理基準に反すると疑惑を持たれたときは,自ら進んで真摯かつ誠実に疑惑を解明し,その責任を明らかにしなければならない。

(就業等の報告義務)

第5条 議員は,自ら事業を営んでいる場合又は次の各号のいずれかに該当する法人その他の団体(出資団体を除く。以下「法人等」という。)の無限責任社員,取締役,執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者,支配人及び清算人に就いている場合は,速やかに議長に報告しなければならない。事業を休止したとき又は職を辞したときも同様とする。

(1) 収益事業を営む法人等

(2) 市の許認可が必要な事業を営む法人等

(3) 市から補助金等を受け,又は受けようとする法人等

(審査の請求)

第6条 議員は,第4条第1項に規定する政治倫理基準に反する疑いがあると認められる議員があるときは,それを疑うに足る事実を証する資料を添えて,議員定数の5分の1以上の議員の連署をもって書面で議長に審査を請求することができる。

2 議員の選挙権を有する市民(以下「有権者」という。)は,第4条第1項に規定する政治倫理基準に反する疑いがあると認められる議員があるときは,それを疑うに足る事実を証する資料を添えて,有権者100人以上の者の連署をもって,その代表者から書面で議長に審査を請求することができる。

(審査会の設置)

第7条 議長は,前条の請求があったときは,これを審査するため,議会に笠岡市議会政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置する。

2 審査会は,議員のうちから議長が指名する委員6人と識見を有する者のうちから議長が委嘱する委員2人とをもって組織する。

3 委員の任期は,議長に対し当該事案の審査結果の報告を終了したときまでとする。

4 委員の互選により審査会に会長及び副会長1人を置く。

5 会長は,会務を総理し,審査会を代表する。

6 副会長は,会長を補佐し,会長に事故があるときは,その職務を代理する。

(審査会の会議)

第8条 審査会は,会長が招集する。

2 審査会は,委員の半数以上の出席がなければ,会議を開くことができない。

3 審査会の議事は,出席委員の過半数で決し,可否同数のときは,会長の決するところによる。

4 審査会の会議は,原則公開する。

(審査)

第9条 審査会は,必要があると認めるときは,関係者から意見又は事情を聴取し,資料の提出を求めることができる。

2 審査会は,審査を請求した議員又は市民代表者及び審査の請求の対象とされた議員(以下「被請求議員」という。)の意見又は事情を聴取するため,それらの者の出席を求めることができる。

3 被請求議員は,審査会に対し,口頭又は書面により弁明することができる。

(審査結果の報告)

第10条 審査会の会長は,審査の結果を取りまとめ,議長に対し文書で報告するものとする。

2 議長は,前項の報告を受けたときは,審査の請求をした者及び被請求議員に対し,その内容を文書で通知するものとする。

3 被請求議員は,前項の文書を受け取った日から14日以内に限り,弁明書を議長に提出することができる。

4 議長は,第1項の報告の概要を市民に公表するものとする。この場合において,前項の弁明書の提出があったときは,当該弁明書を併せて公表するものとする。

(議会の措置)

第11条 議会は,審査会の報告を尊重するものとする。

2 議会は,被請求議員が政治倫理基準等に違反したものと認められるときは,市民の信頼を回復するために必要な措置を講ずるものとする。

3 議長は,前項の措置の内容を市民に公表するものとする。

(守秘義務)

第12条 審査会の委員は,職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も,同様とする。

(委任)

第13条 この条例の施行に関し必要な事項は,議長が別に定める。

この条例は,平成24年4月1日から施行する。

笠岡市議会議員政治倫理条例

平成23年10月7日 条例第17号

(平成24年4月1日施行)